去る7月29日に、明治記念館にて開催された
「第4回A.S.Iアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール 日本代表壮行会」へ
潜入してきました。ちなみにA.S.Iは、国際ソムリエ協会の略です。
A.S.Iアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールは3年に1度だけ開催され、
ここで優勝すれば、晴れて世界大会(2019年3月/ベルギー大会)へと進むことができます。
これまでの優勝者は、こちら。
第1回(2009年/大阪大会)優勝:森 覚さん
第2回(2012年/韓国大会)優勝:フランク・モローさん
第3回(2015年/香港大会)優勝:石田 博さん
今回は京都で開催され、10月17日に準決勝、10月18日に決勝というスケジュール。
アジア・オセアニア地区加盟9カ国と、オブザーバー参加国を含め、
各国代表2名づつの合計22名での激戦となる予定です。
今回、日本代表として戦うのは、この2名。
■岩田 渉
第8回全日本ソムリエコンクール優勝
第5回ソムリエ・スカラシップ優勝
1989年生まれ 愛知県出身 Cave de K所属
■井黒 卓
第8回全日本ソムリエコンクール準優勝
第4回ソムリエ・スカラシップ優勝
1987年生まれ 沖縄出身 ロオジエ所属
森覚さんがナビゲーターを務められ、楽しい掛け合いの和気あいあいとした雰囲気のなか、
質問コーナーあり、ブラインドテイスティングあり、拍手あり笑いありで非常に盛り上がりました。
(『神の雫』作者からのビデオメッセージも。)
■日本代表に決まった瞬間の感想は?
岩田さん「正直なところ、次回の全日本で優勝することを目標にしていた。どのようなところなのか知っておこうというつもりで、優勝とは微塵も思っていなかった。今回から審査の途中結果が公開されるようになったが、準決勝での結果が思っていた以上に良くて、気持ち的にうまく波に乗れた。名前が呼ばれたときは驚きのひとことでした。」
井黒さん「ポルトガルコンクール、28歳以下のスカラシップコンクールでは勝ったが、見事に全日本で逆転された。悔しい思いをしたが、いまとなれば、それが良かったなと。海外から参加していた先輩方と、どのくらい勝負できるかなと思っていたが、代表に決まったときは、とてもうれしかった。」
森さん「私のときも、次を目指そうという気持ちで出て好結果だった。若いということもあり、プレッシャーのないコンディションで戦えたのが、ひとつ良かったのかもしれない。」
■代表決定から1年間、どのような準備をしてきた?
井黒さん「全日本に向けてロオジエに入ったということもありますが、代表に決定して1年半も時間があるということで、言い訳できないプレッシャーがある(笑)。1か月に1回、石田さん中本さん森さんたちがメンターとして、テイスティングやサービスのトレーニングをしてくださって。これはやはり責任重大だなと。1日休むと取り戻すのに3日かかると言われたりもしますが、とににかく1日1日を大事にしてきた。」
岩田さん「同じく、月1回のメンターの皆さんからのトレーニングに重きを置いて過ごしてきた。あと、国際コンクールの傾向として筆記試験の比重が高まっていると感じる。ひたすらモノを覚えていくということを、毎日コツコツとうやってきた。単純作業が好きな人間で(笑)ルーティンで毎日同じ時間に繰り返し行っている。石田さんから納豆トマトが記憶力アップに良いよと教えていただき、それから毎日食べている(笑)」
井黒「僕はゲンを担ぎたいほうなので、とんかつを食べたいのですが(笑)以前、とんかつを食べたいという話を森さんにしたら、とんかつを目の前で5分間見て食べた気になりなさいと、そうだなあと(笑)」
森さん「私も田崎さんがこんにゃくを食べたというので、豆腐を食べていた。炭水化物を取りすぎるとどうしても眠くなってしまう。自分のベストな状態に向けて追い込む、コントロールするということが、本番で苦しい状況でも思考回路を巡らせられるかということにつながるのではないでしょうか。」
■不安な課題は?
岩田さん「海外の選手は、母国語以外の言葉を、母国語のように扱う。そのレベルに達していないと感じる。言葉を発しても理解されないと意味がない。毎月、英会話のトレーニングを受けて指摘をもらって、課題を意識しながら、毎日自宅でトレーニングしている。」
井黒さん「海外の選手の言語能力、国際感覚は、やはり凄いなと。海外での大会視察や、研修でワインメーカーやソムリエを話をすると刺激を受ける。著名な方のfacebookやinstagramをフォローすることで、なるほどこういう言い回しがあるんだと勉強にもなる。いまはYoutubeで海外のコンクールも見れるので、そこで勉強になる部分もある。」
そして、やはりというか、ブラインドテイスティング。
この大観衆を活かして事前練習の場にするという、壮行会ならではの、粋な企画ですね◎
岩田さんには、謎の白ワインが。
井黒さんには、謎の赤ワインが。
じつはこの2本のワインは、森さんが自宅から提供されたもの。
岩田さんは、規定時間ぴったりの3分間で、テイスティングコメントを満たす。
アロマティックな香り、様々な凝縮した完熟した香り、ミモザのような黄色系の花の香り、
リースリングのような鋼のような酸はなく、
残糖感からの親しみやすさ、アルコールも高くないので冷涼な産地、
などなどから総合的に判断し、北海道のケルナーではないかと回答。
(僕も、グラスの香りをいただきましたが、まさにそんな印象でした。)
その様子を見つめる井黒さんの表情…「フフーン」(戦いはもう始まっている!?)
次は、井黒さんがテイスティングへ。
判断の難しいワインだったようで、規定時間をオーバー。
紫色は残っているが、発展的な要素がある、2~3年経っている印象。
ブラックフルーツの印象、どこか赤系のフルーツも感じる、
フルボディと言うよりは中庸なワイン。
特筆すべきは、土っぽさ、さつまいもっぽい雰囲気。
暖かい産地に持っていくのか、寒い産地に持っていくのか、すごく難しい。
赤系と黒系、アルコールもタンニンもある。ということなどから、長野のメルローと回答。
(壮行会、本番は京都、森さんが持ってきた・・・日本を意識してしまいますよね、きっと笑)
コメントする井黒さんを見つめる岩田さん。「フフーン」(か、どうかはわかりません。)
そして、正解発表。
岩田さんのは、なんと韓国の白ワイン!(予想外すぎます!笑)
※グランコトーワイナリー http://www.grandcoteau.co.kr/
井黒さんワインの正解は・・・
アルゼンチンのズッカルディのカベルネフランでした!(これまた難しい!)
繊細な時期の二人に影響を与えないワインセレクトは、
きっと同じ経験をしてきた森さんの、優しく、粋な計らいですね。。。
そして会場を移して、立食形式の懇親会へ。
冒頭に田崎さんからのご挨拶。
当然優勝しかありえないでしょ!というプレッシャーのソテーに、温かい笑いを添えて。
振舞われたワインは、岩田・井黒の両ソムリエが
お料理にあわせてワインをセレクトするという企画。
日本のスパークリングあり、シェリーあり、オレンジワインありと、
さすが、バリエーションの幅が広くて、一つ一つのワインがとても楽しかったです。
ウェルカムのスパークリングに岩田さんが選んだのは、
僕もこれはいいなーと思っていた山梨県MGVs(マグヴィスと読む)ワイナリーの
甲州スパークリング「K537」でびっくり。
最後に、会場で超多忙の2人にインタビューもさせていただきました。
(※録ったまま、かつ、再生しやすさ重視の画質となっており恐縮です。)
Q1 「勝つために、重点的に対策するポイントは?」
Q2 「自分の強みと弱みは?」
Q3 「意気込みをお願いします!」
Q4 「世界チャンピオンになったら何をしたい?」
これまでは、どちらかというと、一糸乱れぬカッチリとしたイメージの強かったソムリエ。
2人には、ソムリエとして大事な部分は受け継がれつつも、
広がり続ける現在のワイン世界に対応する柔軟性を感じます。
個性の異なる2人が、それぞれ、どのような戦いをされるのか非常に楽しみです。
ぜひ世界チャンピオンになって、彼ららしい新しいスタイルで、
日本のワインシーンをいっそう魅力的で楽しいものにしてほしいですね。
必ず優勝を!
応援しています!
(↓なにか楽しいことを見つけたのか、こちらを見ていない井黒さん。笑)