http://www.sannichi.co.jp/local/news/2010/04/06/5.html
甲州ブドウ、国際登録
甲州種ワインの原料となる甲州種ブドウが、ワインに関する国際的な審査機関「葡萄・ワイン国際機構」(OIV、本部パリ)に品種登録されることが5日までに決まった。日本国内の固有種が登録されるのは初めて。これまで甲州種ワインは原料のブドウが未登録のため、EU輸出向けのワインラベルに甲州ワインと表記することができなかった。登録を機に、山梨県や県内のワインメーカーは甲州ワインとして、EUへの輸出を本格化させるとともに、ワインの本場・ヨーロッパでブランド化を目指す。
県産業支援課によると、OIVはブドウの栽培やワインの醸造について国際的な取り決めや審査を行うEU指定の国際機関。OIVが認証していない品種を原料にした場合、品種名をラベルに明記することができない。このため、県内の複数のワインメーカーはEU向けに甲州種ワインの輸出を始めているが、これまで「甲州ワイン」と表示できなかった。
県は甲州ワインとして輸出できる環境づくりを目指し、昨年度から甲州種ブドウのOIV登録に向けた取り組みを開始。甲州種ブドウの特性を分析した上で、今年1月、データとともにOIVに登録申請書を提出した。4月、OIVから甲州種ブドウの登録と、ワインラベルに「kohshu」と「koshu」「甲州」などと表記できることになった、と連絡があった。
甲州種ワインをめぐっては一部のワインメーカーがEUに輸出してきたが、県などは登録を受け、業界を挙げて輸出を進める考え。欧米で和食ブームが広がる中、和食に合うワインとしてPRするとともに、甲州種ワインのブランド化を図り、2012年度には1万本の輸出を目指す。
甲州種ワインのEU向け輸出の拡大を目指し、プロジェクト委員会を立ち上げている山梨県ワイン酒造協同組合の三沢茂計理事長は「国内外の垣根を取り払って、甲州種ワインが市場に出て行く歴史的な一歩」と評価。ワイナリー約80社が加盟する山梨県ワイン酒造組合の前島善福会長は「甲州種ブドウが世界に通用することが証明されたともいえ、大部分の甲州種ワインを醸造している県内のワイン業界にもプラス」と話している。
◇甲州種ブドウ◇
千年以上の裁培の歴史を持つとされる日本固有の品種。甲州種ブドウを使ったワイン造りは135年ほど前、山梨で始まったと言われ、現在では甲州種ワインの9割超は県内産の甲州種ブドウが原料とされる。一方で、県内の栽培面積は、栽培農家の高齢化や高級品種への転換により、1990年代初頭をピークに減少。収穫量もピーク時の半分以下に落ち込んでいる。