垣根栽培の甲州、濃厚なエキスとアルコール@読売新聞

世界に通じる日本ワインを目指す「甲州プロジェクト」が、垣根栽培による「Koshu キュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー」を瓶詰めした。

 このプロジェクトは、ワイン輸入元「ミレジム」社長のアーネスト・シンガー氏が中心となって、純国産の白ワイン造りを目指してきた。ボルドー大のドゥニ・デュブルデュー教授のコンサルタントを得て、2008年からはシャトレーゼ・ベルフォーレ・ワイナリーの施設を借りて、生産している。

 山梨市牧丘で垣根造りによる甲州の栽培に取り組み、2008年は糖度が19.5度に達し、13本が瓶詰めされた。2009年は約1000本は瓶詰めできるだけのブドウが収穫できた。

 08年を従来の棚仕立ての「Koshu キュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー」と比較すると、アルコール度が0・5%程度高く、エキス分が濃厚。とろりとした質感があり、よくできたミュスカデ・シュール・リーを思わせる厚みと長さがある。09年のバレル・サンプルも豊かな果実味が感じられる。

 デュブルデュー教授は「08、09ともに感動した。興味深く、極めて優れた白ワインになる可能性がある」とコメントを寄せた。

 醸造を担当する朝霧ワインカンパニーの樫原信元氏は「垣根栽培の糖度は棚栽培より5度前後高い。ブドウを搾った段階から、香りの強さが違う。酸化にも強い」と語る。また、栽培担当コンサルタントのグレン・クレイシー氏は「垣根栽培の方が酸があるが、きつくない。果実味があるので、搾汁率を上げられるメリットもある」と話す。

 09年は米国、フランス、ベルギー、英国などから注文が来ているという。国内のミシュラン星付き和食レストランも含めて、供給先を考える予定。名前は未定だが、垣根仕立てを意味する「VSP」(ヴァーティカル・シューティング・プルーニング)にする構想もある。価格は1000?2000円に抑える予定。

 シンガー氏は今後、垣根造りの畑を広げる計画。「垣根栽培に成功したことで、甲州の可能性が広がった。今後はマロラクティック発酵や樽熟成にも挑戦できる。世界に広まる和食と合うワインを発展させ、最終的には、日本の農業の活性化による村おこしを考えている」と話している。

2010年1月21日  読売新聞)
 


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