100年後までを見据えた甲州の系統選抜@WINE21

甲州という品種を語る人々が最近、劇的に増えてきた。日本人だけでなく、外国人までも。
でも、彼らの甲州観は様々だ。

たとえば、いくら日本の固有品種だからといって、愛国心と絡ませ販売を促進させるやり口。愛国心を理由に加えれば、”日本固有品種”の部分だけに気を取られ、甲州の品質にまで話が及ばない。
権威のある外国人が、甲州を語ることに意味がある、と? うん、確かにそれは、世界基準の下で甲州のキャラやニーズを確認できる絶好のチャンス。しかし、世界的に見てもワイン潮流には流行り廃りがある。今日、世界のワイン業界を代表する人物が甲州を認めたからといって、明日はどうなる?

甲州のためには、そのアイデンティティを早々に確立し、世界のワイン地図内で存在をアピールし続ける必要がある。となると、甲州をよく知りつつ、愛しつつ、かつ客観視できる人物に、甲州を応援してもらうのが理想。その条件を満たす一人が、ご存じ中央葡萄酒の三澤彩奈氏だ。

海外で研鑽を積んだ三澤氏の華々しい経歴は、以前のトピックスでご紹介した通り(0910/27)。日本中を回り甲州ワインの可能性を伝え続けている彼女は、2月27日、府中「柏屋」にて行われた試飲セミナーに登場した折も、甲州の魅力から問題点まで余すことなく語ってくれた。

「食用ブドウは大きな房、きれいな見た目が重視されるけれど、ワイン用となると、求められるものが真逆。ご存じの通り甲州は食用としての歴史が長く、食用に適した系統が選ばれてきていました」。
さらには、糖度の上がりにくい品種であることも、ワイン造りにはネガティブな要素。そこで
「今は、ワイン用に適したものを系統選抜しているところ」。
さらには、
「優秀な樹を見つけたら、枝を挿して増やすのが普通ですが、実は種からの栽培も手掛けています」。
これは、とあるワイン業界関係者が”遺伝子のリセット”と喩えた手法だ。
「すると、様々な個性が出てくるんですよね……黒ブドウの甲州まで産まれることも(笑)」。

これらの挑戦、「結果が出るのは100年後かもしれません」と長期戦の覚悟を見せる。100年というスパンで活動を進める三澤氏。美人で素直な彼女に夢中のファンは少なくないが、肝の据わった農業人であるとの事実にまた、ファンの感動は深まるのだろう。
1世紀後、変遷を遂げた甲州とともに、彼女の名も、きっと遺る。


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