岩見沢市栗沢町の丘陵地に今春、栃木県のワイナリーで醸造責任者を務めてきた米国人が、ブドウの栽培農家として新規就農した。来日して20年。ワイン醸造の高い技術力で知られ、造ってきたワインはわが国で開かれた2度のサミットでも使われた。「納得できるワイン造りを、道産ブドウの栽培から」?醸造技術者から生産者への転身に、道内関係者からは「道産ワインのブランド化のきっかけになれば」との期待が高まっている。(編集委員 小田島敏朗)
米・ニューヨーク州出身のブルース・ガットラブさん(47)。同市栗沢町上幌に農地3・5ヘクタールを取得、奥さんの亮子さん(40)、6歳の長女とともに4月に就農、ブドウ畑の開墾をスタートさせた。
ワイン醸造技術者の養成機関として知られるカリフォルニア州立大デービス校を卒業後、同州の「ナパ・バレー」でキャリアを重ねていたが、ワインの品質向上を目指す栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」に招聘(しょうへい)されて1989年、来日した。
ガットラブさんはこの春、欧州種の「ピノ・ノワール」と「ソービィニヨン・ブラン」2種類を0・8ヘクタールの南斜面に植えた。天候不順やエゾシカの食害に遭いながらも、秋までに「しっかり根付いてくれた」。来年以降、さらに栽培面積を増やし、2年後の初取りを目指す。
(北海道新聞)