東アジアの果てから、歴史あるボルドー文化の壁に挑戦。
幾多の困難を乗り越えた1983年、
欧米以外の企業によるフランス政府の初認可が下り、
ついにサントリーが手に入れたシャトー・ラグランジュ。
買収以前は、113haある畑のうち葡萄を栽培していたのは52ha。
しかも半分はメルロー。台木は品質重視ではなく多産重視のもの。
13人しか従業員がいなかったそうで、そりゃ無理ってもんです・・・。
そこで「現代ボルドーワインの父」エミール・ペイノーさんを迎え、
ポーカーでダメなカード5枚を全とっかえするがごとく、
豪快にサントリー資本を投入し、設備から畑から、完全一新。
その後は驚異的な回復を・・・
なんてあちこちに書いてることですね(苦笑)
誇り高き異文化に迎え入れられ、
成果を挙げるためには、
徹底的に現地の信頼を得たことが鍵を握っていたようで、
このあたりのくだりは、この本が面白かったです。
で、この1999ヴィンテージですが・・・
うーん・・・
厳しい・・・
もちろん美味しいワインです。
なのですが、
あのラグランジュのクオリティーラインは突破してないです。
ひとことで印象をとらえるなら、
香りの熟成スピードと
味わいの熟成スピードが
"ズレ"てます。
グラスの香りにはまだ若さを感じるのですが、
いざ口に運んでみると果実感が抜けています。
なおかつ、10年でここまでタンニンが溶けちゃうの!?
っていうくらいトータルで味わいに楽しさがありません。
調べるとこのヴィンテージは収量の35%しか
ファーストのラグランジュに回されなかったそうです。
「絞り込んだ」という言い方と
「それだけしか基準を超えなかった」というのは表裏一体・・・。
さらに調べるとパーカーさんも86点。
「1999年の攻撃的な新樽は、深みや果実味の量に比べて過剰なように見える。
純粋さや舌触りは秀逸だが、現時点ではオークが支配しているため、
タンニンも辛くて渋い味がする。とは言え、エレガントな中程度の大きさの
サン=ジュリアンになる可能性はあり、最初の10年で飲みたい。」
◆ロバート・パーカー氏評:86点
◆予想される飲み頃:2006年?2022年
(ロバート・M・パーカーJr.著 ボルドー第4版 美術出版社)
10年以内で楽しんだほうがいいッスよ、という
パーカーさんおすすめの楽しみ方には同感です。
ラグランジュほど安定感のあるシャトーでも
ヴィンテージの影響はいくらかあったりして、
(2004年は89点 2006年は91-94点)
それを考えると5大シャトーの5大シャトーたる所以というか、
ヴィンテージの影響のコントロール技術は恐るべしですね。
【シャトーラグランジュ公式サイト】
http://www.chateau-lagrange.com/Accueil/
ボルドーのシャトーの公式サイトはどこも壮麗で、
見てるだけで行きたくなっちゃいますね!!!